宇納小百合さん

 

イタリア在住。イギリスの大学院終了後、2001年現在の夫(イタリア人)と知り合い結婚。結婚と同時に、夫の仕事により二年おきに海外にて引越しを繰り返す。また、結婚を機に作曲家である夫とのコラボレーションで日本舞踊の現代音楽との融合化に取り組み、海外公演を始める。その後、日本舞踊の一種である地歌舞に転向し、現在に至るまで、ヨーロッパ各国を中心に地歌舞の公演やワークショップを行い、パリとボローニャで地歌舞教室を開く。

URL http://www.alya.it/forlivesi/yusa.htm  Facebook http://www.facebook.com/pages/Sayuri-Uno/273352666113960

 

これまでの人生のマイルストーン


 

進学 22歳
ノートルダム女子大学卒業 留学 23歳~25歳
就職・転職・独立 25歳
海外移住 28歳
結婚 28歳
出産 37歳
やりたいことを見つけた 35、6歳あたり
  

留学をされていますが、海外で勉強をしようと思ったきっかけはなんでしたか?

 

もともと外国映画や外国での生活に憧れていた事も大きいですが、大学卒業までずっと京都から出たことがなく、特に高校、大学は少人数制の女子校だったこともあり、もっと大きな広い世界を見てみたいと思った事がきっかけです。
  

留学時から海外で働くことも意識していましたか?

 

海外で仕事がしたい、ということはあまり意識していませんでした。けれど、海外に住み続けたいという思いは留学時からありました。
 
 

海外で展開されている地歌舞について教えてください。始めようと思ったきっかけや、現地の方の反応などはいかがですか?

  

地歌舞は日本舞踊の一種で「上方舞」「座敷舞」とも呼ばれています。江戸後期、上方と呼ばれる京都、大阪を中心に発展しました。
 
江戸で発展した「踊り」すなわち舞台舞踊(今日一般に日本舞踊と呼ばれているもの)に対して、地歌舞は平安時代の白拍子の「舞」の流れを汲み、宮廷の芸能から引く所もあり、能の影響も深く受けています。
 
一切の無駄を省いた完成度を保ち、その洗練された表現法は、武家や上流家庭の子女の間で教養の一つとして受け入れられ、或は座敷芸として発展しました。 座敷で舞うため、埃をたてぬよう半畳で舞えるように工夫されています。繊細な動きの中から心の内面を浮かび上がらせる独自の芸風です。
 
以前日本舞踊を習っていました時、偶然現在の師匠にあたる古澤流家元古澤侑峯の舞を拝見し、その新しさ、美しさ、深さに夫も私もとても魅了され、門下となりました。 海外では、「芸者、舞妓」という言葉がよく知られていて、地歌舞は芸者の舞ということで、自分も習ってみたいとか、公演をとても興味をもってご覧頂いています。特に、地歌舞らしい、はんなりした作品を好まれているようです。
  

やりたいことを見つけるまでの道のりについて教えてください。どのような経緯で興味関心が変化しましたか?

 

仕事としては、こども英会話の講師、京都御所で外国からの来賓の案内業務、映画の字幕翻訳家になるための学校に通う、通訳ガイド資格取得など、どれも英語関連です。見つけたときはこれこそが自分の天職!と錯覚しつつ必死になるのですが、ある程度到達点が見えて来るというか自分で満足すると、違う興味にころっとシフトしていました。
 
その逆で、趣味として習っ ていた日本舞踊が、のいつ間にか現在の私の生活の大きな一部になった事は私の意思よりももっと大きなものの力によって巡り会わせてもらったような気がします。地歌舞は今までの仕事のなかで最も難しく、美の追求といった終わりのない、また自分の生き方や考え方が大きく影響するものであるがゆえに生涯かけて挑戦していける点で興味が尽きません
 
 

海外で働く上で、やりがい、たのしいこと、大変なことをおしえていただけますか?

 

海外の皆さんは、着物を着てみせるだけで大喜びされます(着物の魅力ですね!)ので、公演等で皆さん喜ばれるのは私も嬉しいです。
 
また、海外で思いのほか、芸者や舞妓さんに憧れる女性が多いです。そういった方々に、日本に行かないと観れないと思われがちな地歌舞をご紹介できるのは、本当に嬉しいです。 特に海外だから大変ということには、まだ出会ってないのですが、しいて言えば、フランスやイタリアで地歌舞を教えている時に、慣れている英語を使ってしまいフランス語やイタリア語で流暢に説明してあげられないことがはがゆいです。
 
イタリア語とフランス語の習得は今後の課題です。 それと、なかなか日本に帰ることができないので、一人で稽古するのですが、師匠に指摘されないまま自己流にはまっていかないようにするのがとても難しいです。
  

日本にいる時と違いを感じることはありますか?どんな点ですか?

 

特にイタリアは、価値観等が日本と違うどころか正反対だと感じます。 言葉をできるだけ凝縮して少なく話す事が美徳だという日本的な感覚とは違い、イタリアはたくさん話す、同じ意味でも違う文章で長々と話す、という感じで、それによって相手とコミュニケーションを図っていくようです。けんかになりそうなくらい話込みますが、最終的にはその方がより親密になっていくという傾向があると思われます。
 
言葉が簡潔では、自分に関心をもっていないと思われ、マイナスな印象にとられます。それから形式的なことはこちらでは必要なく、中身が重要視されますので、その点は日本の常識をわきまえていない私にはとても楽ですね(笑)
  

趣味はありますか?

 

最近の趣味は日本の古い映画を見ることやアンティーク着物です。
 

現地の女性との関わりがあれば、彼女たちのライフスタイルや仕事の仕方、生き方など感じることを教えてください。

  

色々な方がいらっしゃるので一概にはいえませんが、どの方も、それぞれとても自立していらっしゃると思います。仕事の面でも、精神的な面でも。旦那さんに頼るという考えはありません。自分の仕事を持ちつつ、趣味は充実させていらっしゃる。子供のいる女性に関しては、パリの女性は子供とは一線をおいて大人な接し方をされているような気がします。
 
子供と川の字になって寝ると言われている日本の習慣(今はどうか知りませんが)とは逆でパリでは、生後3ヶ月以降から職場に復帰する女性がほとんどと聞いていますし、シッターさんに預けてパートナーと出かけたりは普通にあることです。イタリアもどちらかと言うとパリに近い考え方のようです。
 
 

やりたいことを仕事にする時にはある意味覚悟が必要ですが、その勇気ある一歩を踏み出せた理由を教えてください。

 

勇気とか、覚悟とかは全然ないのです。というより、流されるままに今に至るという感じです。運命ということかもしれませんが、ただぼーっと受け身でいたわけではなく、いつも何かに全力で集中していたうちに、その繰り返しの末、今に至ったと思います。
  

日々意識して実行していることがあれば教えてください。

 

実行しているというか、日々考えることは今を大切に有難く思うことです。でも忙しさでついつい忘れてしまいますが!それと日々より良く生きていきたいなあと思います。
 
 

ご主人とは国際結婚をされていますが、出会ったきっかけを伺ってもいいでしょうか?

 

私が京都御所に勤めていた頃、夫が外国からのお客さんとして来られて、その日は少しお話ししたのですが、次の日に彼からファックスが御所に届き、読んでみると、彼の連絡先等を添えてもっとお話ししよう!みたいなことが書かれてていたのです。イタリア人の友達という程度で、メールでやり取りをするようになりましたが、なんとなくこの人だという気がして、3度目にお会いした時に結婚の話になりました。
 
 

すごい展開ですね!ご自身の中で結婚前から国際結婚をするという意識はお持ちでしたか?

 

なかったです。ただ小さいときから興味があるのは外国人顔の方でしたが^^
  

海外でご出産をされていますが、その国ならではの良かったことなどがあれば教えてください。

 

全てが初めてで、何がなんだかわからないまま、陣痛から出産までが3時間ほどでしたので、あっという間に出産してしまったような。出産準備として、お気に入りのCDをいくつか持っていき、陣痛のとき等に流すように、と指示して頂いていたのですが、実際はCDのことなどかけるのも忘れて、ただ無我夢中でした。
 
思い出に残っている事は、無痛注射を打って頂く予定の医師が、のんびりコーヒー片手にやってきて、陣痛の痛みで苦しくて早く打って~と言う声も出ない私の隣で、他の医師とおしゃべりしてたことが印象深いです。 その医師によると陣痛のピークは彼の計算では、まだだと思っていらしたようで、実際予想以上に早いペースで子宮口が開いていたのに驚いて、慌てて注射を打って頂きました。その後しばらく痛みは治まったのですが、2度目に激しい痛みがあり、再度注射をしてもらいましたが、その注射の直後(注射の効果を発揮する前)に産まれてしまいましたので、結局無痛分娩じゃなかったのでは?とその時は大変でしたが今となっては笑ってしまいます。
 
 

海外で子育てをすることは大変なことかと思います。お住まいの国の子育て事情について教えてください。

 

海外だから大変という事は感じた事がないです。息子がおり、3歳になってから幼稚園に行き始めています。 こちらの幼稚園の先生は、日本の先生のようにやさしくてきめ細やかなフォローをしてくれる(これは私の経験なので全てがそうではないでしょうが)訳ではなく、結構あっさりしています。
 
両親が共働きをしている家庭が多いので送り迎えはおじいちゃんおばあちゃんの仕事のようです。 病気に関しては子供が大きくなるまで一貫してずっと同じ小児科医がついて下さり、何かあるとまずその先生に見てもらえます。子供の事を小さい時から見て知ってもらえるので このシステムは良いなあと思います。
 
 

子育てにおいて、ご主人やご家族、社会からのサポートはありますか?

 

妊娠中から、今まで料理をした事のない主人が料理をしたり、食器洗いや洗濯を干したりしてくれるようになりました。私は子供と一緒にいる事が多い分、手の回らない家事を引き受けてくれるので相当助かっています。彼の両親も近くに住んでいるので、できる範囲で協力をしてもらっています。 イタリアでは児童手当はなく、日本の出産一時手当金のようなものも、日本と比べると微々たるものです。国からのサポートは、おそらく日本の方がもっときめ細かいのではないかと思いますが、その分イタリアでは家族間での協力は固いと思います。
 

日本でもグローバル化という声が上がり、英語など外国語を子供に習得させたい親御さんも増えています。お住まいの国でお子さんの言葉の環境や、教育について実践されていることがあれば教えてください。日本語教育に対するご意見も伺えますか?

 

今子供は3歳になりますが、私は日本語、夫はイタリア語で話しかけていましたので、私には日本語で、夫にはイタリア語で自然に話してくれます。私が夫に話す時、うっかりイタリア語と日本語を混ぜて使ったら子供もまねて同じように言うので、私も言葉遣いを気をつけないといけないな、と反省することもあります。
 
夫と私は基本的に英語で話すので、それを聞いている子供は、英語で話すことはありませんが、何となく意味がわかっているようなときもあり、子供って本当にスポンジみたいに吸収できるんだなと思います。 今は日本語の方が少し優勢ですが、これからどんどん幼稚園でイタリア語を覚えるようになるでしょうし、今度は日本語のキープが難しくなってくるそうです。
 
何人も子供の日本語教育をあきらめたという先輩海外在住ママさんの声を聞いています。知り合いの海外在住の国際カップルのお子さんは、母親(日本人)が日本語のみでずっと話していたおかげで、現在10歳になるお子さんは素晴らしいバイリンガルです。ですが、絶えずキープするためのお母さんの影の努力と忍耐はなみなみならないものです。
 
大人になって自発的に勉強してくれるまでバイリンガルを維持するのはなかなか簡単にはいかないようですね。 現在はまだ何かを習わせるという事は考えてなく、言語環境としてはイタリア語、英語、日本語の中で暮らし、日常では、私が自宅で地唄舞教室を開いているのと、夫がハプシコード演奏家でもあり子供と一緒に弾くこと(子供は自由気侭に鍵盤を叩いているだけですが)で、文化的な環境に自然に親しんでいる程度でいいかな思っています。
  

お子さんを育てる上で、言葉以外に大切にしていることがあれば教えてください。

 

心を大切にしたいと思っています。健やかで、安定した前向きな心と、ユーモアを持ってもらいたいと思っています。そうすることで、自分に対するように、他の人への思いやりも持てるようになってくれることを願っています。
 
 

日本とは違う外国の文化や人々の生活に触れることで、視野や価値観の変化など大きく変わったことがあれば教えてください。

 

形式的なものを重要だと思わなくなってしまった事が大きいかもしれません。
  

今後の目標やこれから挑戦したいことはありますか?

 

現在はまだ子供が小さく、二つの事を同時にできない不器用な私ですので、やはり育児をメインに、後の数パーセントを地歌舞にというかたちですが、大きくなっていくごとに、地歌舞の比率を徐々に上げていきたいです。地歌舞は年齢を追うほど舞に深みや美しさが表われてきますので、日常生活の中で様々な苦しみや喜びを経験し、日々自分が成長しつつ、舞に反映させられれば素晴らしいだろうなと、目標にしています。
 
 

ライフプランとマネジメントは意識してきましたか?

 

夫の仕事上、海外での引越しが続いていましたので自分でプランを練る余裕はなかったです^^
 
 

今後のライフプランについて教えてください。

 

子供が成人するまではこのまま海外で地唄舞を広めていきたいと考えています。おばあちゃんになったら、日本の小さな家の小さな畳の部屋で、気を許せる少人数の生徒さんに地歌舞をお教えできたら本望です。
  

これから海外の大学に住んでみたい、ホームステイをしてみたい、働いてみたいという女性に向けてメッセージをいただけますか?

 
できるだけ多くの事を経験し、多くの人と出会って下さい!
 
 
 

  
子育てをしながらも、海外で日本文化を発信されており活発な印象のさゆりさん。ご本人は京都育ちということもあり、非常に、はんなりとした雰囲気をお持ちのしなやかな女性です。 さゆりさん、ありがとうございました!

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