世界各国の女性の学び、キャリアや働き方、結婚・出産、子育て、女性を取り巻く環境やライフスタイルについてご紹介します。
 

ma-large
 
 

school
 
 

switzerland 

モロッコはアフリカ大陸の中でも女性の進学率が高い国であり、フランスの植民地だったため、教育制度はフランスの影響を大きく受けています。
 

幼稚園からフランス語を学び、高校卒業後の専門学校や大学の授業、レポート、試験は全てフランス語です。女性の大学や専門学校への進学率は都市部で 80%、農村部で40%。都市部で進学率が高い理由としては、大学が都市部に集中していることや、公立の大学や専門学校が登録料(約5,000円)を払え ば学費がなく、経済的に進学がしやすいことがあげられます。
 

一方、農村部で大学進学率が低い理由としては、モロッコでは大学の寮があまりないため、家賃や食費など経済的に負担がかかること、また農村部の伝統的な意 識として女性は家の仕事をするという考えもあるからです。経済的に余裕があり、家族や親戚が海外に住んでいる場合は、フランスやスペインなどのヨーロッパ や北米などに進学するケースも見られます。また都市部以外に住む女性の約40%が進学や就職で都市部に行くといわれています。
 

大学や専門学校では課題が多く、アルバイトやお稽古事をする時間はあまりありません。モロッコの大学も入学するのは比較的簡単ですが、卒業するのは相当の努力が必要です。親の収入に応じて、奨学金制度はありますが、一部の富裕層を除いて、学生時代は質素に黙々と勉強し、週末には課題に追われながらも友達と 遊ぶというのが一般的です。
 

独身であれば仕事と両立してキャリアアップのために学業を両立することも可能でが、結婚してしまうと、まだ「結婚した女性は家の仕事(家事)をしなければならない」という風習があるため、夫の許可なく自由に仕事をしたり、学校にいくことは難しいのです。
 

career
 

モロッコでの就職試験は筆記試験や面接で職業経験や語学力、プレゼンテーション能力、心理テストにより適性など審査されます。しかし、内定の40%は知人 や親戚のコネが合格の一因とも言われています。男女とも仕事の大差はありませんが、結婚を機に退職する女性も多く、企業内での女性の割合は自然と低くなり ます。 結婚しても働く女性は約20~30%といわれています。
 

女性たちは政府機関、企業で働く人が多く、起業をする女性はモロッコではまだ珍しいことです。雇用 形態は一般的に7時間労働の週休2日制、6時間労働も希望できますが、短時間のパートタイムはほとんどありません。8時から12時まで働き、1~2時間の 昼休憩、午後から3時間働くというのが基本的な働き方です。また子育て中の女性は、小、中、高校生は給食がないため、昼休憩の間に一度帰宅します。そして食事を作り、家族と昼食を済ませてから仕事に戻るのです。
 

モロッコでは有給休暇は年に4週間あり、まとめて、または分割して取ることもできます。多くの人は年に一度のイスラム教のお祭りの際に有給休暇を取り、家族と共に過ごす人が大半です。
 
 
 

marriage
 
 
Moroccan_Wedding
 

都市部では欧米諸国並みにキャリアアップのため、学業を続けたり、留学する女性もいます。しかしモロッコはイスラム教の影響が強く(イスラム教徒が90% 以上)、イスラム教では結婚し家族をもつことが良いこととされ、モロッコのほとんどの女性たちはイスラム教に沿って生きています。それもあり、女性は幼い ころから結婚を意識して人生設計をするのです。
 

そのため、大学生でも企業の良いポストについていても、結婚の話が決まり、夫が望めば、あっさりと学業も仕事もやめます。日本では考えられない出来事です が、イスラム教に沿って生きる女性には、現世でのキャリアやお金、地位よりも、神が望むこと(結婚)をする方が価値があると思っているからです。
 

独身で一生を過ごすことは都市部では増えていますが、まだモロッコでは珍しいことでもあります。
 

結婚はなるべく早く、学生時代でも良い縁があれば結婚します。盛大な結婚式をするのが女性の20代の目標といった感があります。結婚は恋愛結婚もあります が、両親が夫になる男性を選ぶこともあります。両親が選んだ相手でも、話をして合わなければ、結婚を拒否することもありますが、お見合い結婚は結婚する手 段の一つで、約60%の結婚を占めるほどです。結婚をしても仕事を続ける女性もいますが、約70%の女性が家庭に入ります。自ら家庭に入る女性もいます が、多くは夫の希望です。また子供を持つこともイスラム教で推奨されているため、夫婦の間で最低2人、経済的に余裕があれば、それ以上子供を持ちます。公 立や私立の病院での出産が主流ですが、日本のような政府の補助はありません。公立の病院は安いのですが待ち時間が長く、私立の病院は高いのですが、待ち時間が少ないという利点欠点もあります。
 

医療水準に大差はないため、経済的な理由で公立か私立を選びます。費用は公立の場合は約5万円位、私立は約10万円位。ちなみにモロッコの平均月収は約4.5万円程度です。
 
 
 

child
 
 ​

モロッコでは、家族や親戚、近所づきあいが深いです。
 

都市部の一部を除いて食事は毎食家族と食べ、仕事が終わってから、ほぼ毎日、親戚や友達の家に行ったり、家に招いたりと核家族で住んでいても家族や親戚のつながりが常にあります。そのため、幼いころから、男女とも、特に女性は親や親戚がどのように子育てをしているかを見て、時には自分の弟や妹、親戚の子供 などの面倒を見ながら育ちます。女性たちが母親になった時にも、両親や親戚、近所の方が頻繁に家に来て、食事の準備や子育てを一緒にしていきます。都市部で核家族暮らしでも、地方に住む両親が、子育てを援助するために上京することもよくあるケースです。母親や核家族が孤立になるということはあまりありませ ん。ただ、家族手当や行政レベルでの援助、乳児医療の補助はなく、いざ子供が病気になった時、個人で保険に入っていなければ、高額の医療費がかかります。 その場合は家族や親戚が金銭面で援助し合います。
 

また女性の育児休暇は産前産後、約半年~8カ月ありますが、男性の育児休暇は2日。家族の絆や家族の援助はありますが、行政面での援助がないため、個人の責任で保険に加入したり、計画的な出産をしなければモロッコでの子育ては大変な面もあります。
 
 
 

environment
 

モロッコは都市部と都市部以外で女性の生活は大分違います。カサブランカや首都ラバトなどの都市部の独身者は欧米諸国の独身女性のように仕事の後や週末に、映画やジム、料理教室、カフェやクラブに友達と行ったり、自分の好きなことをして余暇を過ごせます。都市部を外れると、娯楽施設がありません。都市部 以外ではカフェは男性のもので、女性がカフェに入ると白い目で見られます。お稽古事をする文化もないので、独身女性は自宅や公園で家族や友達と過ごしたり、海岸やお散歩などをしながら過ごすのが一般的です。
 

モロッコは夫婦の形として、男性は外で働き、女性は家のことをするという考えが強く、女性は結婚と同時に仕事を辞めることが多いです。

子育てに一段落ついても、夫や夫の家族の理解が得られず、働くことができない女性もいるのです。もちろん、理解してくれる男性も多くいますが、結婚前にお 互いの生き方を話し合っておかないと、経済的な問題や価値観の違いで離婚する結果になります(モロッコの離婚率は年々上昇し、カップルの約 25~30%)。モロッコで離婚した女性に、政府からの援助はありません。自ら働くか、夫からの慰謝料、実家や親戚の援助で暮らします。
 

また、モロッコでは企業や政府機関で働いている人にしか年金制度がありません。
 

日本のように扶養している妻への年金制度はなく、夫が退職しても、夫の退職金のみで生活しなければならないのです。働きたいけど、働けない。いくら高学歴 でも、結婚した男性やその家族の考えで仕事を辞めざるを得ないこともあります。モロッコは家族の絆が良い時もありますが、考え方によっては女性が自立する ことを阻むものに変わることもあります。最近では、保険や年金制度がモロッコよりも整っているヨーロッパや北米に移住する女性もいます。ただ、移住するた めにはお金がかかり、学歴がないと難しいため、限られた職業(医師、看護師、エンジニアなど)に就く女性で一部に限られています。