キモノの着付け(着る方法)のポイントに、襟を背中にずらして首筋を出す「衣紋抜き」があります。キモノ姿を後ろや横から見ると、キモノの襟を後ろに下げて、うなじ(首筋)を出す着方をしています。それが「衣紋抜き」です。ほどよく抜いた衣紋は、うなじを美しく見せます。
しかし、衣紋を抜く着付けを始めた理由は、うなじを美しく見せるためではありませんでした。キモノの襟を詰めて着ると襟が首に当たって汚れるので、それを防ぐため。そして、大きく髷(髪のふくらみ)を作る日本髪の髪型が、襟に当たって崩れるのを防ぐためだったのです。
理由は合理的で風情がありませんが、衣紋を抜いたキモノ姿は日本髪の髷から続く滑らかなうなじを見せ、女性の柔らかい魅力を強調します。
衣紋抜きには、時と場合によって抜き加減があり、公式の場で衣紋を大きく抜くと野暮(センスが良くない)と言われます。また、華やかな食事会などでは大きく抜いた方が、華やかさを表現できて場に合いますよね。ですから、キモノを着る時には、場に合わせた着付けが必要なのです。
そう聞くとキモノを着こなすのは難しいと感じるかもしれませんが、どのような場でも押さえておきたい避けるべき着方もあります。それは襟を下げ過ぎて背中まで見せること、また胸元を大きく開くこと。これらは下品とされています。
洋服では女性の魅力を引き出すために胸元を強調する服もありますが、キモノは胸元を閉じてうなじを見せ、女性の後ろ姿の魅力を引き出す衣装です。その対照的な着こなしもあって、あなたがキモノを着ると、今までとは違う新しい自分に出会えるのです。
ぜひキモノも気軽に楽しんでみてくださいね!
□ 似合う和の色、そろそろ探しあてませんか?
□ 着付けは思い切って頼みましょ!